保々西城縄張図(国土地理院の電子地形図25000)
今年初めに行った奈良県御所市の佐味城(2022年2月28日ブログ)と同じような方形区画が見られるのが、四日市市の保々西城です。
四日市市の北西部、朝明川左岸(北)の河岸段丘(標高61.4m/比高約20m)の東西に深く谷が入り込んだ所を利用して保々西城は築かれていました。
保々西城と佐味城を詳細に比べると、佐味城は台地状に広がった尾根を使い最高所に主郭を配し東に向って降った斜面に方形区画を作っています結果、方形区画の土塁は主郭側は高く尾根先側は低くなっています。城域の南から東は深い堀で限られいます。
一方、保々西城の城域は平坦で、主郭に相当する土塁囲みの郭は西側の谷に面した崖の上にあり佐味城の様な求心性は無いように感じます。方形区画の外側切岸の高さはあるものの内部の土塁の高さは低く1mを超える所はありません。
この城の最も注目すべき点は主郭の虎口(東側)で形態的には完全な土塁で囲まれた枡形で伊勢では他に見ないものですが、疑問な所はすぐ北に平入りの虎口が開いており意味が無いように感じます。(後世の改変か?)
城の東、南、西は5mを超える切岸になっていますが堀はなく、北に続く平坦地を土塁、空堀で遮断していますが、野球場のバックスクリーンの裏から道が土塁を切り開いている所は後世の改変の様に私は考えます、東の折れの所に虎口がありますが内部は土塁、切岸で囲まれ枡形の様になっています。
保々西城は北勢中央公園に隣接しています、しかし案内板等は設置されていますが整備されている様子はなく、基本的に藪状態で特に夏時期の主郭内部は厳しい状況です。
主郭写真
北入口
東虎口(枡形)
土塁内部
北土塁・空堀写真
西部
中央付近
東折れ部
虎口内部の土塁、切岸
東部
東方形区画写真
土塁
南郭写真
土塁
虎口
遠望写真
- 参考文献
株式会社 新人物往来社 昭和55年8月15日発行
日本城郭大系 第10巻 三重・奈良・和歌山
戒光祥出版株式会社 2014年8月8日発行
城郭談話会編 図解 近畿の城郭Ⅰ
三重県良書出版会 昭和54年2月発刊
福井健二氏著 三重の城