下山甲斐守城(下比奈知)縄張図(国土地理院の電子地形図25000)
伊賀の内でも名張の特に南部の山間部は早くから北畠氏の勢力が及んだようで他の地区とは異なる特徴を持つ幾つかの城があります。そのうちの一つが今回の下山甲斐守城です。名張川と花瀬川に挟まれた名張川の左岸(西)の標高279m(比高70m)の細長い丘陵の北端部に下山甲斐守城に築かれています。約3Km南の奈垣にも同じ下山甲斐守城がありますが本来は奈垣が下山氏の城で、勢力を拡大し比奈知で作ったのが今回の城です。279mのピーク部を四方を土塁として残し掘り込んで主郭を作って、土塁の南東角は高く広くなって櫓台と私は思います、北側に虎口が開きその前面に空堀があり西側に続いて、東側は腰郭状になっています。虎口を北に出ると土塁、空堀で遮断しており中央に開いた虎口には石段の石が見え、内部は北に向か斜面で削平は充分でありません。さらに北側には約80mに及ぶ土塁空堀がありその内部は自然地形で、東端付近に虎口が開いています。城のある山は西の中腹まで人家があり、城への道も人家の庭を横切るのことになるので声をかけて許可を得る配慮が必要と思います。(私自身は一度も断れた事はありませんでした。)
主郭東土塁写真(上面)
(内側)
主郭南土塁
主郭櫓台写真
主郭南空堀写真
主郭北空堀
北土塁写真
北土塁虎口写真
北端空堀写真
北端空堀虎口外写真
北端空堀虎口内写真
遠景写真
- 参考文献
株式会社 新人物往来社
日本城郭大系 第10巻 三重・奈良・和歌山
伊賀中世城館調査会
調査日誌第178号 古城雑記 平成8年1月1日号