鎌刃城縄張図(国土地理院の電子地形図25000)
若いころ、城郭大系では鎌刃城について本文に記載がなく、その他の城郭一覧に簡単に記述があるのみでした。その後「近江の城19号」及び「分布調査報告書」で縄張図と詳細が報告され私はその存在を知りました。
以後、発掘調査が行われその結果等をいろんな機会で目にしましたが、あまり興味が湧かず一度も行くことが有りませんでしたが、 昨年に八講師城に行ったところ鎌刃城も見る必要があると思い先日行ってきました。
標高383m(比高240m)の尾根のピークが主郭で、その北に延びる尾根と、西に延びる尾根にそれぞれ郭群がありました。
主郭は想像していた以上に大きく、南に土塁、北の中央に石段の有る虎口があり、各部に石垣がある様ですが発掘調査の結果埋め戻されているようで、現在北東の切岸の石垣がまとまって見られます。主郭の南には堀切で分けられた二つの郭があり南端の郭に土塁が見られました。
主郭の東から北にかけて規模の大きな腰郭があり、その北西角からの尾根上に郭が続くが、上方の3段の削平は不充分で何かの施設があったよう私には思えません。先端から3段の郭は規模も大きく削平も良く、先端の郭は真ん中が窪んで土塁が取り巻いている形で、窪みに建物の礎石が検出された事により、この郭の切岸に石垣が積まれ土塁天端いっぱいに重層櫓が「近江鎌刃城」の口絵7の復元イラストでは書かれていますが、私が現状を見る限り櫓が乗る土塁天端には石垣が見られず、切岸の石垣も櫓の土台になるようなもので無いように見えたのは、埋め戻された結果でしょうか。窪地の東側に通路、その北の郭北東角に石段の虎口が発掘により検出されています。
主郭に続く南端郭の南西角から、トラロープにつかまりながら急斜面を約50m下ると小規模の郭、堀切を経て大きな2段の削平地があり、先端の郭西斜面に竪堀列(畝堀)当日私は4本確認できましたが、藪の中にはまだ数本あるように思います。
南端の土塁の、堀切を隔てて続く尾根は人一人が歩ける程の幅しかなく林道までの間に7本の堀切があるとされますが、明確に堀切と思えるのは2本ぐらいで、他は明確でありません。
「近江鎌刃城」のなかで武奈方向から番場に至る間道を城に取り込んでおりとあり、武奈は男鬼から1km北に当たるので男鬼入谷城は鎌刃城と連絡が可能でなにかしら関連があるように思い、男鬼入谷城にも一度行かなければと思っています。
中央郭群写真
主郭
主郭南土塁
主郭虎口
主郭北切岸石垣
南側郭
南側郭堀切
南端土塁
北尾根郭群写真
先端郭上面
先端郭北切岸
2段目郭虎口
3段目郭
上段郭
先端堀切
西斜面石垣
西尾根郭群写真
先端竪堀列(畝堀)
堀切
- 参考文献
サンライズ出版株式会社 2006年2月28日 発行
戦国の山城・近江鎌刃城
近江の城友の会
財団法人 滋賀総合研究所 1986年5月 発行
滋賀県中世城郭分布調査委員会
近江の城 19号