向城縄張図(国土地理院の電子地形図250000)
庄原市と三次市の境界付近で、麓を国兼川が北から西にかけて大きく蛇行して流れる標高276.6mの低丘陵の西に張り出した尾根(標高257m/比高50m)が向城です。
全長が約50mの単郭の城で、郭内部は三段位に分かれているようですが削平はあまりよくないように感じました。虎口は東側の南寄りに土塁の痕跡が切れている所があり空堀に向かって下っていました。
この様な小さな城ですが、東に繋がる尾根には3本の堀切があり、このうち内側の2本は南から入り込んだ谷に面して空堀となり南に向かって下っています。更にその東に空堀の痕跡があり厳重に遮断しています。
一方西側は南端の空堀が北に向かって伸びていますが、すぐに外側の土塁が無くなり山道状になってしまい、麓に国兼川が流れていることを考えてもいかにも貧弱な感じがします。東側からどの様勢力が攻めてくることを想定しているのでしょうか。少なくとも延徳年間の山内と三吉氏の戦いでの城であれば、三吉氏は西からやってくるのではないでしょうか。
北斜面には、4本の竪堀(畝堀)が見られますが、疲れたのでよく見ておらずもっとあったかもしれません。
さすがに5月になれば、低丘陵の藪山では良い写真が撮れませんでした。
南端空堀写真
東空堀写真
遠景写真
- 参考文献
株式会社 渓水社 令和3年2月1日 発行
表 邦男 氏著 広島の中世城館を歩く
株式会社 新人物往来社 昭和55年1月15日 発行
日本城郭大系 第13巻 広島・岡山