鳴神城

鳴神城縄張図

国土地理院の地形図では阪和自動車道の島田トンネルの北に長尾峠の表記があり、
その北の標高224.3mの城山が鳴神城です。
鳴神城は北西400mの榎城と尾根でつながっています。
以前、鳴神城に登ったときは長尾峠を目指しましたが地形図にある道を見つけることが出来ず、
トンネルの上の藪を進んで鳴神城に繋がる尾根を見つけてたどり着きました。
今回は榎城経由で行き、結果として両城の差異を確認することができました。
榎城は主郭と、主郭周辺の郭は削平も良く規模も大きく切岸も高くなっています。
しかも郭間の切岸の、根元を空堀状に掘り下げており直登することはほぼ不可能な状態になっています。
この様な特徴は、鳴神城主郭(以下郭A)下の郭(以下郭B)の切岸にも見られます、
ただ鳴神城の場合は郭では無く自然地形になっています。
逆に鳴神城だけに見られるものとして、郭Bには東、南、北にかけて高さ2m前後の土塁が取り囲んでいます。
また個々の郭には、明確な虎口が残っています。
以上の様に現在見られる榎城と鳴神城の遺構は、単純に主城、出城と言うような関係で無く、
ある時期に長尾峠に対する監視を強化するための
改修を受けた状態が鳴神城の現状であると考えます。
郭Bの北の角は、4×6mの大きさで張り出しており形大きさから私は櫓台と考えています。
この櫓台は、榎城から続く尾根上に張り出しており榎城からの通行を制圧しています。
鳴神城の現状は、榎城との関連が薄くなった時期の状態と私は思っています。

主郭虎口写真

主郭南切岸写真

主郭北写真

郭B虎口スロープ写真

郭B虎口写真

郭B虎口石段写真

郭B土塁写真

郭B西側写真

郭B南下空堀写真


郭B東下竪土塁写真

南端堀切写真

櫓台写真



  • 参考文献

日本城郭体系 第10巻 和歌山
定本和歌山県の城