信州峠の防塁

信州峠防塁略図

山歩きの方のブログで山梨、長野県境にある信州峠の土塁について書かれていました。
調べた結果、北杜市「市内城館跡詳細分布調査報告書」を見つけました。
この中で「第三節 信州峠の防塁」と報告されています。
調査の結果土塁は、峠の東西に延長3kmわたって県境にほぼ沿って築かれており、地元の地誌類や伝承もなく
詳細不明とされています。
一部周辺のトレンチ調査も行われ縄文土器や炭化材が検出され、炭化材の年代測定は縄文時代の値が測定されています。
ただ土塁断面のトレンチ調査は行われておらず、堆積状況の確認は行われていないので土塁そのものの
年代はわかっていません。
今回私は峠の東西共に300m程度しか見ていませんが、現状土塁の高さは50cm程度で
北(長野県)側は深さ50cm程度の溝になっています。
したがって、土塁上面と溝の北の地表面は高さが同じで、土塁の南(山梨県)側に土塁切岸が確認できます。
ただし必ずしも北側だけに溝が有るわけでなく南側にも溝の有る所があるので、
溝の存在で、土塁の内外を区別するものでないと私は感じました。
土塁は、尾根の中心よりやや南に外れた所に築かれので北側には、20〜30mの平坦地があります。
以上の様に、何時、誰が、何のために築いたのか分かりませんが確かに土塁はありました。
現在の県道が、中世の穂坂道のルートをどれ位踏襲しているのか分からないが、もしこの峠を越えているのであれば、佐久往還の通行の側面防御として北条勢が土塁を築いて守ったのではないかと
私は妄想しています。


峠西側東から西に向かって順に写真




屈曲部


斜面

峠東側写真

  • 参考文献

北杜市教育委員会
  北杜市埋蔵文化財調査報告 第35集
  山梨県北杜市 市内城館跡詳細分布調査報告書