延利城

延利城縄張図
延利城の縄張図は高橋成計氏の作図の物を許可を得て使用しています。
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丹後半島は、城郭について情報が少なく、先入観でたいした事がない城が有るだけだと思っていました。しかし調べ始めると驚きの連続でした。今回紹介します延利城はその中でも特筆する存在です。

延利城は大宮町明田と延利の境界付近の比高80mの低丘陵に存在します。この丘陵は稜線が南西から北東にに向いており、それに対して谷が複雑に入り込み非常に複雑な地形になっています。
したがってこの城の調査に入った最初は、城にたどり着くこともできませんでした。地元の方に聞き込みを行い位置が確認できましたが、広範囲に広がる城域と倒木及び薮の為城の全貌をつかむまで10回以上訪れることになりました。
城は、逆コの形をしており、縦棒と下の横棒の結節点が最高点の主郭になっています。主郭背後を2重の堀切で完全に分断し、内側の堀切は真ん中に堀残しの土塁状の物がありこの内側の堀が西に延びて南側の尾根上の郭の側面を守っています。北、南の郭群共に要所要所に堀切、空堀で守っています。北尾根の現地の方が馬駆け場と呼ぶところには外桝形形態の虎口があります。主郭の西には広く削平した階段状の郭があり居住空間ではないかと私は考えています。ここには西の大宮第三小学校の裏から谷が入り込んでおり、この方面が大手ではないかと私は考えています。
以上のように延利城はまったく無名の城ですが見るべき所が多くある城です。

居館削平地

主郭背後堀切

南尾根堀

  • 参考文献

京都府中世城館調査報告書
  第1冊 丹後編