陣山城

陣山城縄張図(国土地理院の電子地形図25000)

毛利氏郡山城に対する尼子氏の陣城である風越山を見て以来、
三次市にある尼子の陣城、南山城、ハチが壇城等を調べていました。
その中で安芸高田市歴史民俗博物館のA氏に
松岡進氏が著作「中世城郭の縄張り空間」で三次の尼子の陣城に書かれていることを教えて頂きました。
早速手に入れて読むと、尼子氏と大内氏(毛利氏)が戦った細沢山合戦に関連する城として、
前記の2城以外に南山城の近くにある茶臼山城、陣山城について書かれていたので、
この両城を目的に21018年12月30、31日三次市に向かいました。
30日の三次市は、前日からの雪が残り山に入れる状況ではありませんでしたが、
昼過ぎから雪が無くなってきたので、茶臼山城はあきらめて陣山城のみ登ってきました。
陣山城は、馬洗川の北にある標高251mの山頂から東に続く尾根のピークにあります。
広島県中世城館遺跡総合調査報告書では尾根南端の部分しか記載されていませんが、
松岡進氏の著作では尾根の北斜面にも空堀があるとされています。
私が見たこの空堀は、尾根の稜線の北に沿って約100mにわたって、
切岸の高さ5〜最大10m、幅は10m前後の規模となっていました。
東側は北東方向に延びる尾根を掘り込んで周辺は土塁状にして残して、東端は土塁で止めて竪堀として落ち込んでいません。
西側は山頂から続く尾根を掘り込んで、西側に向かって竪堀状になって約70m続いています。
この西側の尾根上面は、切岸等も見られず自然地形のままです。
この様な状況の陣山城は、南山城の南西約1.7km、ハチが壇城の約3.0kmに位置し
どの様な意味を持つのか私には疑問のままです。
なお茶臼山城の上り口を確認するためにその南にあるお宅を訪ね、
お話を伺った中で茶臼山城及び陣山城を上陣、下陣と呼ばれていたことも気になるところです。

北側空堀写真

西側虎口写真

西側空堀写真

遠望写真

  • 参考文献

広島県教育委員会
  広島県中世城館遺跡総合調査報告書 第4集
吉川弘文館
  松岡進氏著 城を極める 中世城郭の縄張りと空間 土の城が語るもの
芸備地方史研究会
  芸備地方紙研究230号 長谷川博史氏 大永7年備後国和知郷細沢山合戦と陣城遺構
株式会社 新人物往来社
  日本城郭大系 第13巻 広島・岡山